こんにちは。きのひです。
「日本美のこころ 最後の職人ものがたり」 彬子女王 著 を読みました。
2019年3月4日 初版第1刷発行
「『最後の職人』は、日本中にどれだけいるのだろうか」
その人がいなくなれば、絶えてしまう技術。
著者は寛仁親王(ともひとしんのう)殿下の第一女子として誕生しました。
日本美術史を専攻し、海外に流出した日本美術に関する調査・研究を行い、2010年に博士号を取得。
「この数年間、たくさんの最後の職人にお会いすることができた」
日本文化を未来に残していくために、自分は何ができるのだろうかと思いながら続けてきた職人さんに出会う旅です。
そのなかのひとつに「琵琶(びわ)」がありました。
日本で唯一、全工程手作業で琵琶を作る職人、四世石田不識(いしだふしき)さん。
赤坂御用地の中から見える高層ビル群のなかにある「虎ノ門ヒルズ」
その真ん前に石田琵琶店は静かに佇(たたず)んでいます。
石田さんが作る琵琶の一番の特徴は、上質な桑(くわ)の木を10年間自然乾燥することによって出る音色。
「人工的に乾燥させると、木の養分が逃げてしまうのか、音が浅くなってしまう」
根のついた丸太のままの桑の木を買い付けて、乾燥させて削り出します。
「この厚さがないと、奥行きのあるあの音は作りだせない」
琵琶は語り物の伴奏楽器であるため、音は演奏する人の声域に合わせて作ります。
どんな音を出したいのか、流派や男女の差、声の質によっても違うので、琵琶を注文される方から細かな希望を聞いて音を決める。
「この音の調律が一番繊細で難しい作業」
微妙に木の彫り方を変えて、世界に一つしかない琵琶ができあがります。
琵琶という楽器。
なんとなくは知っているけど、指でひくのかバチで弾くのかさえおぼろげです・・
著者は「はじめに」でいいます。
この旅で「私が行きついた答えは『伝統とは残すものではなく、残るもの』であるような気がしている」
今日までその技術が残ってきたのには理由がある。
「そして、その技術が失われるのにもまた理由があるのである」
人間がいくらあがいても抗えないものはある。
「今できることは、大切な日本文化が『残る』ための未来を、私たちの力で作っていくことではないだろうか」