違いすぎる心太

こんにちは。きのひです。

 

「八朔(はっさく)の雪 髙田 郁 著 を読みました。

2009年5月18日 第一刷発行

2014年8月8日 第四十三刷発行

 

 

 


澪は天涯孤独の身。

上方にある料理屋で奉公していました。

 

 


ある日その店が火事にあい女将さんとともに江戸店(えどだな)の若旦那のところへ下ることに。

 

 


ところが若旦那は行方知れず。

江戸店は潰れてしまう。

 

 

 

 

澪は老人の店主が1人で切り盛りする蕎麦屋のお運びを手伝うことになりました。

たまに料理も作らせてもらっています。

 

 

 


今日はその店主と心太(ところてん)を出す店にきた。

 

 

 


運ばれてきた鉢と添えられた箸を見て澪は慌てて言いました。

「お箸が足りません」

 

 

 

 


「えっ?お澪坊、心太は一本箸で食うもんだろう?」

 

 

 

 

心太屋の店主は快く澪にもう一本箸を持ってきてくれました。

さあ食べようか、と豆徳利の中身を注ぐと茶色い汁が。

 

 

 


「旦那さん、一体何を」

澪は目を見開いて尖った声を上げた。

 

 

 

 

「何をって、酢醤油をかけただけだろう」

酢醤油?」

 

 

 

 


「いい加減にしてくれよ、お澪坊」

「そんなにいちいち驚いていられたんじゃあ落ち着いて食えやしない」

 

 

 

 

 

大阪では黒砂糖を煮詰めてとろりとさせたのをひんやりした心太にかけて食べてました。

 

 

 

 

澪の驚きは食べてからも続きます。

明らかに味が違うし歯ごたえもない。

 

 

 

 


というのも大阪では心太は天草(てんぐさ)の煮汁を固めてつくります。

ところが江戸では心太を寒天から作っていた。

 

 

 

 

 

「磯臭さがなくて透明感がある」

 

 

 

 


寒天は心太を凍らせ乾燥させて、を繰り返して仕上げた乾物。

この寒天から作る心太は磯臭さがほとんどなくどんな味にも合いそうだった。

 

 

 

 

 

心太に甘いものと酢醤油をかけたものがあるのは知っていました。

でも心太に天草からつくったものと寒天からつくるものがあったとは。

 

 

 

 


そして寒天と心太は同じ天草という海藻からできたものだったんですね。

 

 

 

 


食物繊維があって低カロリー。

心太の原料を気にしたことなかったことに気がつきました。