こんにちは。きのひです。
「雨柳堂夢咄(うりゅうどうゆめばなし) 其ノ七」 波津彬子 著 を読みました。
2007年10月1日新版第1刷発行
雨柳堂に「料理屋 虎月楼(こげつろう)」の女将(おかみ)がやってきました。
「うちの『虎石』を置くために堆朱(ついしゅ)の台が欲しいんです」
堆朱とは朱うるしを厚く塗り重ねてそれに模様をほったもの。
要望をあらかじめきいていた店主は用意してあった台を見せました。
「これなんですが」
「花台には大きいが卓(たく)には低くて小さい。何か特別な物を乗せるために誂(あつら)えたのではないかと」
女将はその台をひと目見て「ああ見事な堆朱ね」
「今からこれだけの物を作るにはいい職人を捜(さが)すのも大変だわ」
そんなものがあるのは骨董屋ならではです。
「手入れもいい物です。傷などもありません」
「大きさもちょうどいいわ。これをいただきましょう」
「言い値でよろしいわ」
虎石とは虎月楼の玄関脇に飾ってある虎の形をした石です。
店の名にちなんで女将の先々代が手に入れたもの。
虎が伏しているような形の白っぽい石でした。
しまい込まれていたのを女将が店に飾って大事に世話をするようになった。
それから商売が良くなってきたのです。
ある晩、虎月楼に強盗が入りました。
ところがそいつらは何も盗(と)らなかったばかりか玄関の三和土(たたき)で腰を抜かしているところをつかまった。
「連中が口をそろえて言うには白い大きな虎が目を光らせて彼らに向かって咆(ほ)えたと言うんだ」
玄関の三和土って土間とはちがうんでしょうか。
SUUMO 2024年09月26日 「三和土とは?(たたき)どこのこと?土間との違い、三和土(玄関の床)にピッタリなのは何?」
昔の日本家屋は屋内ながらも土足で生活をする「土間」がありました。
「土間」は玄関から炊事場へとつながる広い空間で、農作業のための道具や炊事、洗濯をする場所として便利に使われていた。
しかし、土のままではドアの開閉や人の出入りなどが原因で土埃が舞い上がり、清潔に生活ができません。
「そこで、その土間の表面を固めるために使われたのが、三和土です」
三和土はその昔、家づくりの施工方法の一つだった。
三和土は素材となる赤土などを叩いて固めたため、最初は「叩き土・敲き土(たたきつち)」と呼ばれていました。
また、三和土の素材に使われていたのは、おもに赤土・砂利・消石灰(しょうせっかい)など。
その3種類の素材を混ぜてつくるため、「三和土」という漢字が使われたともいわれています。
「 titel (タイテル)」2022-01-31 「玄関の三和土はどこのこと?デメリットや今どきの実例などを紹介」
「三和土はもともと土間の仕上げ方法の一つでした」
しかし現在はそのデメリットから土間スペースを指す言葉となり、仕上げは他の材料に代わっている。
「三和土は、土と消石灰とにがりを混ぜて叩いて固めます」
三和土のデメリットとは
1.欠けたり削れたりしやすい。焼き物のタイルなどに比べると強度が劣る
2.豊富な経験と知識が必要。土の種類や材料の配合割合の調整が必要です
3.工事の期間が長い。1ヶ月以上かかることもあり、その間は上を歩くことができない
4.費用が高め。工事手間がかかり高い品質で工事できる職人が少ない。モルタルやタイルなどに比べ費用がかかる
むかしからの伝統や工法を維持して伝えるのは努力が必要なんですね・・
三和土の材料から泥団子づくりを連想してしまいました。
三和土の仕上げって、泥団子職人さんあたりが上手だったりして。