こんにちは。きのひです。
「雨柳堂夢咄(うりゅうどうゆめばなし) 其ノ十四」 波津彬子 著 を読みました。
2013年4月30日 第1刷発行
黒田隆一(くろだりゅういち)は前の会社がなくなってしまい仕事を探していました。
「思うような仕事はなかなかみつからないな」
親は亡くなり妹も嫁にいった。
煮炊(にた)きのばあさんも、もう歳(とし)だからと里に帰ってしまいました。
自宅まで帰ってくると「うちの前に誰かいるぞ」
「あの・・・こちらは黒田隆之助(りゅうのすけ)様のお宅でございますか?」
「隆之助?・・・それは俺の死んだじいさんの名前だけど」
「親父も数年前に亡くなりましたよ」
「それでは、あなた様が黒田家のご当主ですね?」
「これを。どうかぜひ、おいで下さいまし」
渡されたのは字が書いてある葉っぱ一枚。
「明後日・・早朝五時より 清游庵(せいゆうあん)にて 薄茶(うすちゃ)を一服(いっぷく)さしあげたく」
当日まだ暗いうちに骨董屋を名乗る男がやってきた。
「あなたを案内してくれと頼まれました」
「事情がわかってらっしゃらないようなので、多分来てはいただけないだろうから、と」
「あたりまえだ。あんな葉っぱ一枚渡されても・・・」
「あれは、むかし七夕(たなばた)に梶(かじ)の葉に和歌を書きつけていたところから季節柄まねたのでしょう」
「梶の葉」
七夕と関係しているのでしょうか。
「くらしのこよみ友の会 研究員の皆さんの七夕」
「七夕に梶の葉(研究員:かずさ)」
「笹は七夕には欠かせません」
「でも七夕が『笹の節句』となったのは割と最近のお話だそうで、七夕に活躍していた植物は本来『梶の葉』」
梶の葉の特徴として、表面に生えた繊毛のおかげか「墨のノリが良い」ということがあります。
このことから梶の葉に和歌を書くという風習が生まれた。
「昨年、新暦七夕の頃、とある場所へ『梶の葉ハンティング』に出かけました」
試しに文字を書いてみたところ、確かによく墨が乗る。
「ただし、ほんの小一時間でカリカリに枯れてしまうので、本当にはかない試みです」
紙もボールペンもない生活。
「墨がよく乗る葉っぱ」を見つけたときは「やった!」って感じだったかな。