こんにちは。きのひです。
2022年7月13日 第1刷発行
2023年2月1日 第3刷発行
競技かるた名人戦。
五番勝負の名人位・クイーン位決定戦は、ともに2勝対2勝で第5試合が始まりました。
名人位を争うのは綿谷新(わたやあらた)と周防久志(すおうひさし)です。
周防は現名人。昨年の名人戦で5連覇を果たし永世(えいせい)名人となった。
周防は目に異変を抱(かか)えていました。
「たぶんそのうち見えなくなるから、名人戦は最後」
それを知った北央(ほくおう)高校の須藤(すどう)は埼玉県の中央小学校をたずねます。
そこには全盲で競技かるたを子どもたちに教えている北沢(きたざわ)先生がいる。
「な・・なんで北沢先生は競技かるたやってるんですか?」
「私はじつは食べるのが大好きでやめられなくて。競技かるたにハマって変われたんですよ」
北沢先生は点字つきの百人一首を広めようとしている人にこんなふうに相談されたことがありました。
「『こんな難しいもの目の見えない人にやらせようってのは作った人の自己満足でしかないわ』って言われました」
北沢先生は「それをきいて私の中のやる気がムラムラと・・・」
そのときの北沢先生。百人一首は小さいころやっただけでもちろん札(ふだ)も覚えてない。
点字読みも苦手でした。
それが「かるた大好きになって夢中になったらだんだん痩(や)せていつのまにか結婚もできて」
「かるたに携(たずさ)わる人が好きで・・子供たちにも見えない人にも広げたいなあって」
須藤さんは目隠しして北沢先生と対戦してみた。
「暗記はできてる。シートもあるから札の場所もわかる」
でも目隠ししてちゃんと払えるかっていうと「ムズい!!」
「こんなに長くかるたやってんのに距離感(きょりかん)あやふやじゃんかよ、おれ・・・!」
暗記はできてるのに目で細かい位置を確認できないからどうしてもズレる。
「北沢先生の手の正確さがおかしいぞ」
「どれだけ努力したらここまでかるたの形で取れるんだ?」
一般社団法人全日本かるた協会 特設サイト百人一首の世界
バリアフリーかるた 「小倉百人一首フェスティバル 2020 in Tokyo ON LINE 開催」
「競技かるた」の楽しさをより多くの人に体感してほしいということで、点字付きかるたの普及活動が広がりをみせている。
「視覚に障害があっても取り札を認識しやすいような印字や点字加工を施し、札自体も取りやすい形状にした『点字付きかるた』が開発され、バリアフリー大会のための競技ルール作りも行われています」
バリアフリーかるたの工夫
「取り札の特徴」
1.地の部分は黒、文字は白
視覚に障害を受け「見えにくい」「まぶしい」「見える範囲が狭い」など日常生活に支障のあるロービジョンの人にとっては、地が白いと光を多く反射してしまうので見にくくなってしまいます
2.文字は大きく読みやすい書体
印刷されている文字は、視力の弱い人でも判別しやすいように、大きなサイズで、そして読みやすいユニバーサルデザインのものが採用されています
3.短歌の下の句を点字でも表記
目の見えない人でも取り札に書いてある和歌を認識できるように、取り札には下の句の点字シールが貼付されています
4.札の左上の角を丸く加工
取り札の左上の角が丸く加工されています。視覚に障害がある方でも札の向きが確認でき、点字を正しく読めるようにするためです
5.札の形状が湾曲
「バリアフリーかるた」では瓦のように湾曲させたり、札自体の厚みを増したりして視覚障害の方でも札を取りやすいように工夫されています
「置き台特徴」
一般の「競技かるた」のように自陣、相手陣に25枚ずつ配置するのは難しいので、各自が所定の場所に10枚セットできる専用の置き台を使います
競技者の間に台を置いて、その四隅に4枚の取り札を並べて競技を行う場合もあります
北沢先生はマグネットを使った工夫をしていた。
「札がね、飛んじゃってそれを拾うのが難しくって」
「こまるから、百均で買ってきたマグネット紙(し)で札を作って、それを台にくっつくようにしてあんまり動かないように工夫したんだけど」
「安かったから耐久性がね・・・」
かるたへの情熱がすごいです。
その情熱をかきたてている「かるた」も。