こんにちは。きのひです。
「残り者」 朝井まかて 著 を読みました。
2019年6月16日 第1刷発行
りつの生家である阿藤(あとう)家は直参旗本(じきさんはたもと)です。
伯母である高嶋(たかしま)の伝手(つて)で江戸城呉服之間に奉公している。
呉服之間は御目見得(おめみえ)身分であるものの、他とは異なって裁縫一筋の者の御役です。
日がな坐って縫物をする呉服之間の御針仕事はりつには性に合っていた。
夕暮れが近くなった部屋でりつは気が乗って手を止められません。
ようやく道具仕舞いを始めたとき、他の六人はもう仕事を仕舞いかけていた。
部屋の隅々はもう夕闇に沈んでいます。
「すぐに仕舞いますゆえ」
すると「焦らずとも良い」と穏やかに声を掛けてくれたのは三年先輩のあさでした。
あさはかたわらに坐り、道具仕舞いを手伝ってくれる。
やっと仕舞い終えたと肩の力を抜いた時、訪ねられました。
「御針は何本、使いましたか」あさは後輩に対しても、決して居丈高(いたけだか)な物言いをしない。
「今日は確か、七本にございます」
「七本、ですか」あさはりつの針山を手にしていて、怪訝な声を出した。眉を曇らせています。
針山に刺さっているのは六本だった。
呉服之間から御針が持ち出されれば将軍や御台所(みだいどころ)の御身を傷つける凶器になりかねません。
ゆえにその管理は厳しく仕込まれてきたし、りつも忠実に守ってきた。
りつは畳の上を舐めるように捜しだしました。
夜風が吹く時分になっても御針は出てこない。
呉服之間は三十坪ほどの中庭に面しており、そこに高張(たかはり)提灯がずらりと掲げられました。
高張提灯。
AI さんによると長い竿の先に取り付けて高く掲げる提灯のこと。
提灯卸問屋さん「提灯とはどういう意味?意外と知らない基礎知識を解説」
「提灯とは、竹などでできた伸縮性のある枠に紙を貼り、中に蠟燭を入れて使用する照明のことです」
「提」には手にさげて持つ、ぶらさげるという意味があり、提灯とはその使い方から名付けられた名称。
「『ちょうちん』と読む発音は、中国から入ってきた漢字の読み方である唐音に基づいています。
提灯ならではの数え方として浸透しているのは「一張り」で、これは枠に紙を貼る提灯の製作工程に由来している。
同じ提灯を二張り分、もしくは同じ形でデザインが左右対称になっている提灯二張り分の事を「一対(いっつい)」と数える場合も。
「『一台』『一個』なども、ちょうちんの数え方として使われています」
中国から伝わった提灯の枠は、竹ひごを縦向きに組んでおり火袋が畳めない構造だった。
「現在でも日本で使われている折りたたみ式のものは、中国ちょうちんを改良した結果、室町時代に誕生したと言われています」
提灯が多くの日本人に普及したのは、江戸時代中期のこと。
「蠟燭が大量生産できるようになってから庶民の間で提灯が広まり、持ち歩ける灯火器として使われるようになったのです」
提灯のボトルネックが蠟燭だったとは。