こんにちは。きのひです。
「ぶたぶたの休日」 矢崎存美 著 を読みました。
2001年5月31日 初刷
「あたしの名前は佐野理恵(りえ)」
一月になったのになかなか就職が決まらない。
「就職しないで、しばらくアルバイトしようかなあ」と何気なく言った言葉に母は噛(か)みついてきた。
「大変なのはわかるけど、そんな安易に考えるもんじゃないよ」
「バイトって、何するのよ」
「う―ん、何でもいいんだけど」
「どうせするなら、お金のためだけっていうのはやめなさい。何かやりたいことはないの?」
「そのためにするんなら、お母さん反対しないよ」
「そういうのも、特に・・・」
「あんたそれ、大学卒業しようって歳(とし)の娘が言うこと?」
理恵は母親の声に唇を嚙みました。
こう言われることはわかっていた。
「まったくそんなにふらふらして―」
「身入れて働くか、どうせなら結婚でもしてよ」
「わかった、わかったよ」
「わかってない!」
「あんた、まだ二十二だって思ってるでしょ?!若いからって油断してるけど、あっという間に三十になるからね」
「それからは二倍の速度で四十になるんだからっ」
「ひどいなぁ・・・」
「いっそお見合いでもする?おばさんがまた写真持ってきたけど」
「・・・してみようかな・・・」
お見合いなんて何となく「いやだ」と思っていたけど、単なる紹介、と思えば友だちもおばもそれほど変わりないように思えてきた。
はりきった母とおばはどんどん段取りをつけてしまった。
期待は全然していなかったのだが、相手の男性はとても感じのいい人でした。
五つ年上だが趣味や価値観にも好感が持てたし、公務員という安定した職業と、新築のマンションを持っていた。
あとは相手次第だったが「彼はあっさりとあたしのことを気に入ってくれた」
両家の間でとんとん拍子に話が運びます。
一か月後には結納や式の日取りが決まってしまっていた。
六月に挙式。
新婚旅行はオーストラリアとニュージーランドです。
こんなに簡単に結婚が決まるなんて、思ってもみなかった。
条件だけで選んだわけでは決してない。彼とはけっこう気が合います。
大学の友人たちに婚約を伝えると、みんな予想どおりに驚いた。
「理恵ってほんとに恵まれてるよね。おめでとう」
それに「ありがとう」と返しながらも理恵は心の中で「そんなことない」とくり返していました。
何だか矛盾(むじゅん)している、と思いながらもその気持ちは拭(ぬぐ)えない。
そんなある日、理恵は山崎(やまざき)ぶたぶた氏を車で新潟まで送ることになりました。
彼は動き、喋り、働くピンクのぬいぐるみ。
煤(すす)けたピンク色で大きさはバレーボールほど。
つぶらなビーズの目で、右耳だけそっくり返っています。
サービスエリアでぶたぶたは売店に走っていった。
理恵は自動販売機の缶コーヒーを手にしました。
春が近いとはいえ、まだ底冷えがする。
缶コーヒーは熱く、冷たい手にじんとしみます。
「はい、どうぞ」 いきなり下から声がきこえました。
はっとして見ると、ぶたぶたがアメリカンドッグを差し出している。
デリッシュキッチン 2024/07/02 「アメリカンドッグはアメリカに無い?」
「名前の由来について解説します」
ソーセージを串に刺し小麦粉やホットケーキミックスなどで作った甘い生地で包んで揚げたアメリカンドッグ。
実際にはアメリカでは見かけない食べ物です。
アメリカにあるのは「コーンドッグ」
これはソーセージをコーンミール(トウモロコシ粉)の生地で包んで揚げたものです。
コーンドッグはアメリカのフェアやカーニバルで人気のあるスナック。
日本ではコーンドッグに似たこの食べ物が「『アメリカンなドッグ』として『アメリカンドッグ』と名付けられたといわれています」
「ちなみに『ドッグ』はホットドッグから由来しています」
昔ドイツからの移民がアメリカに持ち込んだフランクフルターというソーセージが犬の形に似ていることからドッグと呼ばれるようになった。
「ソーセージを温めて提供することからホットドッグという名称が定着したといわれています」
犬の形のソーセージって・・
「マイナビ子育て 2023年01月04日」「みんな大好き『アメリカンドッグ』は、海外では通じない?」
こちらでこの疑問が解決しました。
「もともとパンに長いソーセージを包んで食べる食べ物は、ドイツ由来」
「それがアメリカに浸透してきたとき、その長いソーセージで犬のダックスフントを想像したことから最初は『ホット・ダックスフント・ソーセージ』と呼ばれていたようです」
なんとなく「ホットドッグのドッグは犬のドッグじゃないんだろうなあ」って思ってました。
ほんとにホットな犬だったとは。