こんにちは。きのひです。
「脳のアクセルとブレーキの取扱説明書」 真壁昭夫×中野信子 著 を読みました。
2020年9月18日 第1刷発行
真壁昭夫(まかべ・あきお)氏は法政大学大学院政策創造研究科教授。
1976年、一橋大学卒業後第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行。
ロンドン大学経営学部大学院、メリルリンチ社への出向を経てみずほ総合研究所調査本部主席研究員などを歴任。
中野信子(なかの・のぶこ)氏は脳科学者、医学博士、認知科学者。
東京大学工学部応用化学科卒業。
同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。
脳や心理学をテーマに人間社会に生じる事象を科学の視点を通して明快に解説し多くの支持を得ています。
この本の底流にあるテーマは「アクセル」と「ブレーキ」
「本書では脳科学と行動経済学の専門家として私たち二人が現代を生きる人たちの悩みに対しその対処法を記しています」と真壁氏。
真壁「行動経済学では年齢や性別といった人間の属性についての研究は確かにあるのですが、私の知る限り宗教などのバックグラウンドによる行動経済学の分類をあまり見たことがないような気がします」
もともと行動経済学は心理学から発祥した。
真壁「そして行動経済学が主に発達した地域がアメリカでありヨーロッパなのです」
「そうすると人種だったり宗教だったりという属性は非常に微妙な問題になってきますので、それぞれの属性を分けて聞いたりあるいは研究したりすることは好ましくないということになります」
「ただ研究という意味では宗教別という分類があると確かにいろいろな差が出ると思います」
中野「人種間の差を見た研究では絶対音感に関するものがあります」
「他の条件をそろえるために、アメリカに移住してから第二世代以降の人たちを対象にして人種や出身国別に絶対音感の有無を調べたところ、アジア系の人が絶対音感を持っている率が高いということが分かったのです」
絶対音感を持つ率が人種によって違うとは思いませんでした。
絶対音感って「日常の音がドレミで聞こえてしまう」んでしたっけ。
「 academist Journal 」2019年9月4日「音階が言葉に聞こえる―脳から見る絶対音感と言語の関係」さんによると「絶対音感は『参照音がなくても音高(ピッチ)の音名を答えられる能力』と定義されている」
「ド」などの基準音を先に聞いてから次の音の音名を答えるのは音高を「相対的」に判断するので相対音感です。
それに対して自らの長期記憶を使い基準音を参照することなく「絶対的」に音高を同定するのが絶対音感。
研究で絶対音感があるかどうかを調べるには、相対音感を使えないようにするために音階のようなわかりやすい順番ではなくでたらめに音を聞かせて音名を答えてもらいます。
「それでもゆっくり考える時間があると相対音感が使えてしまうこともあるのでテスト音は数秒程度の短い間隔で次々と提示する」
このような工夫を凝らした検査で9割以上正解できれば正確な絶対音感があると判断できます。
白鍵の音だけわかるといった状態だと6割程度の正答率になりこれは弱い絶対音感。
「ドやラといったいくつかの特定の音がわかるくらいでは、1-2割程度の正答率にしかならず絶対音感があるとはみなされません」
ちなみに絶対音感は音の音名がわかる能力なので歌の上手い下手とは関係ない。
絶対音感があるのに音痴ということもありえます。
音の音名がわかるということは音高を言語化できるということ。
周波数の高低に沿って音高は連続的に変化しますが音楽で使われる音は周波数が階段状にとびとびの音階になっています。
「そしてその階のひとつひとつにドレミなどの言語ラベルが付いています」
「ですので絶対音感で音名がわかるとは『聞こえた音が脳の中で階段状に仕分けられて音名と結びつく』ということです」
相対音感というものもあるんですね。
それにしても絶対音感があって音痴だと、歌ったときに自分で「違うな~」とか思ったりするんでしょうか。