耳と目の違いは

こんにちは。きのひです。

 

「記憶がウソをつく!」 養老孟司 × 古舘伊知郎 著 を読みました。

2004年2月20日 初版第一刷発行

 

 

 

 

 

 

養老孟司(ようろう・たけし)氏は東京大学医学部卒業、専攻は解剖学。

東京大学医学部教授を経て現在は北里大学大学院教授、東京大学名誉教授です。

 

 

 

 

 

 

昆虫採集は超趣味の域に達している。

 

 

 

 

 

 

古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)氏は立教大学卒業後、’77年テレビ朝日アナウンサーとして入社。

プロレス実況においてその鋭敏な語彙センス、ボルテージの高い過激さで独特の「古舘節」を確立しました。

 

 

 

 

 


’84年テレビ朝日を退社しフリーとなる。

 

 

 

 

 

 

「TBS テレビの『人間とはなんだ』というシリーズで一緒に仕事をさせていただいたのがこの対談のはじまりである」

 

初対面で養老さんがビックリしたことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古舘さんのアタッシェケースいっぱいにメガネが入っていた。

「私が箱に入れるならふつうは虫だが、古舘さんはメガネなのである」

 

 

 

 

 

 

 

 


古舘さんは「養老先生と知り合ってから今日、『脳』の不思議さに魅せられました」

 

日常のあらゆる場面で、自分のこの発言やこの行動は脳のどんな働きによるものなのかと始終自分自身に問いかける癖がついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

養老さんは古舘さんに問いかけます。

「耳と目のいちばん大きな違いは何だと思いますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん機能の違いでは・・ないですよね・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古舘さんは「言葉の情報みたいなものは目でも耳でも得ることはできますよね・・・」

 

目は「瞬間」っていうくらいでそれこそ瞬きするくらいの短い間でも情報を得ることができるけど、耳はそうじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「耳が何か情報を得るためにはそれなりの時間が必要だってことじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうなんですよ」

「耳と目のいちばん大きな違いは何かというと耳は時間を追っていくということです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お喋りがそうで、必ず時間がかかる。

ところが「目は一目でわかるんです。時間性がないでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「写真も絵も風景もパッと目に入る。そういうことですか」

「そうです。こういうのを『同時並行処理』というんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それに対して耳の場合は、『時間処理』です」

「一つの線のように時間内をずーっとたどっていく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「音楽は目じゃ見えませんもんね。あっだから『観音様』はすごいんだ。音を観ることができるってことでしょう」

 

「ただね、目と耳はずいぶん性格が違うんですが、逆にその目と耳が協同して対処するものがあるんですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 


それが「言葉」

 

我々は外から入る情報を目から脳に伝達して情報処理しています。

そうした視覚情報を処理する領域が脳の大脳皮質のどこかにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で耳から入ったものも同じように情報処理していき、脳の中でやはり大脳皮質のある領域で耳の情報を処理している。

 

そうすると「その領域の重複したところが言葉になるということなんです」

 

 

 

 

 

 

 

 


視覚処理と聴覚処理が完全に重なってくると言葉になる。

「なぜかというと目で文字を読んでも日本語だし耳で聞いても日本語だからです」

 

 

 

 

 

 

 

 

「たとえば今、僕が喋ったことをテープに録音して文字に起こしてそれを読んでもらってもあるいはこうやって喋っているのを聞いてもらっても、同じことが伝わるわけでしょう」

 

これは脳の中での共通処理以外にあり得ない。

 

 

 

 

 


「だから共通の場所で処理するわけです」


これに古舘さんは「わかったような、わからないような・・・」

 

 

 

 

 

 

 


このコメントに思わずホッとしてしまった。

それにしても養老先生、「目と耳の違い」に対する古舘さんの答え、もっと褒めてあげてもよかったのでは。