しかありつべくあるらし

きのひです。

 

「雲上雲下(うんじょううんげ)」 朝井 まかて 著 を読みました。

2018年2月28日 初刷

 

 

 

 

 

 

「わしは、枯れることのできぬ草である」

「幾千もの葉は常世(とこよ)の緑を保ちながら花を咲かせず、種を吐かず、実もつけぬ」

 


「ゆえに誰も、有難(ありがた)がらぬ」

 

 

 

 

 

 

 

そんな「わし」の午睡(ごすい)を邪魔立てする者があらわれました。

黄色のかたまりが根許をぐるぐると駆け回り、鼻面を近づけては嗅(か)ぎ、「くん」と鼻を鳴らす。

 

 

 

 

 

 


子狐(こぎつね)でした。

細い頤(おとがい)を上げ、こちらを見上げます。「草どん」

 

 

 

 

 


「語ってくれろ」

「何をだ」

 

 

 

 

 

「おっ母(か)さんが毎晩、してくれるお話」

草どんは「わしの内から湧いてきた」気が遠くなるほど長い時のかなたに消えていたはずの昔話を語り始める。

 

 

 

 

 


大樫の洞(ほら)の暗闇からは山姥も姿をあらわしました。

「久方ぶりに訪ねてきてやったぞ。かれこれ百五十七年ぶりだわな。久方ぶり」

 

 

 

 

 


草どんが語ったのは「亀の身上(みあ)がり」

龍王(りゅうおう)の愛娘(まなむすめ)である乙姫(おとひめ)が、重い病で臥(ふ)せってしまった。

 

 

 

 

 


家臣である亀は心配でなりません。

祈禱師(きとうし)によると手立てはただ一つ。

 

 

 

 

 


「猿の活(い)き肝(ぎも)をお呑みにならねば、姫は早晩、寿命が尽きることになりまする」

陸と海を行き来でき、かつ、生きたまま運んでこられるのは、亀を措(お)いて他にはいない。

 

 

 

 

 

 

亀は猿を連れてくることができたのか、姫は無事に命が助かったのか・・・

語り終えた草どんに、山姥は不満をぶつけます。

 

 

 

 

 

 

「亀どんはどうなる。さんざん悩んで苦労して、龍王から何の褒美ももらえんのか」

それをきいた子狐は大人みたいに鹿爪(しかつめ)らしい面持ちになり、溜息を吐きました。

 

 

「もう・・・損得勘定ばかり」

 

 

 

 

 

 

 

 

しかつめらしい・・・どんな意味でしたっけ。

kufura さん「ビジネスマナー」2023.10.04 によると「形式ばって堅苦しい様子、態度や表情がまじめで緊張している様子を表す形容詞」

 

 

 

 

 

 

 

「しかつめらしい」は古語由来の言葉です。

 

「『当然そのようである』という意味から『いかにももっともらしい』『まじめで堅苦しい』などと意味が変化していったのではないかといわれている」

 

 

 

 

 

 

 

 

語源は「当然そのようである」を意味する「しかありつべくあるらし」

 

品詞分解すると「しか(副詞:そのように)・あり(動詞:あり)・つ(強意・完了の助動詞)・べく(推量の助動詞)・ある(動詞:あり)・らし(推定の助動詞)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかつめらしい」の使い方の注意点もありました。

 

1.「しかめっつら」「しかめつら」と混同しない

 

「しかつめらしい」は形式的で堅苦しい様子を表す形容詞。

「しかめっつら」「しかめつら」はまゆのあたりにしわを寄せ不機嫌や不快感を示した表情を表す名詞です。

 

 

 

 

 


2.「まじめ」とはニュアンスが異なる

 

「しかつめらしい」はただ単に「まじめ」な様子を表す言葉ではないため

「本当にまじめな様子をほめる際に使う言葉としては適切ではありません」

 

 

 

 

 

 

類似の意味を持つ表現は

 

堅苦しい

・形式ばる

・四角四面

・生真面目

・しゃちほこばる

 

 

 

 

 

 

「『しかめっつら』とは意味も語源も異なりますので混同しないよう注意しましょう」

なるほど!

 

 

 

ところで「しゃちほこばる」も気になってきました・・