烏と鴉

こんにちは。きのひです。

 

「雨月(うげつ)の道(みち)」 稲葉 稔 著 を読みました。

平成23年6月10日 初版発行

 

 

 

 

 

馬喰町(ばくろちょう)の北に位置する橋本町。

そこの長屋戸口脇に「よろず相談所」の看板が掲げてあります。

 

 

 

 

 

 

よろず相談所とは人探し、揉(も)め事(ごと)の仲介、困り事の相談などを受ける商売。

その男の名は早乙女十内(さおとめじゅうない)、大身(たいしん)旗本の次男です。

 

 

 

 

 

 


兄にもしものことがあれば跡目を継ぐことになるが、今のところそのような心配はなさそうだ。

士官もままならない十内は母から養子縁組を勧められても断っていました。

 

 

 

 

 

 

 

「おれはおれの人生を自分で切り拓(ひら)いてやる」

十内には志がありました。

 

 

 

 

 

 

 

親の権威を利用して生きる術(すべ)もあったがそれでは家を飛びだしたことの意味がなくなってしまう。

十内は「家督相続権のない『部屋住み』」ではなく自分の人生を自分で切り拓きたかった。

 

 

 

 

 

 

 


よろず相談所という商売を考えたのは単なる思いつきでした。

剣術でも直感といえる閃(ひらめ)きで通っていた道場でめきめきと頭角を現した。

 

 

 

 

 

 

 

生来、物事を深く突き詰めて考えることが苦手です。

自分の勘ばたらきを大切にするところがある。

 

 

 

 

 

 

 

さっそく持ち込まれた相談は「文兵衛(ぶんべえ)という飾り職人を探してほしい」という依頼でした。

文兵衛は働いていた蠟燭(ろうそく)問屋から金二百三十四両を盗んでいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

文兵衛は蠟燭問屋の娘婿だった男です。

「できれば内々ですませたい」店の主人は御番所に届けずに十内を頼りました。

 

 

 

 

 

 

 


十内が探るうちに事情を知るものが神田明神近くの町屋にいることがわかった。

見張りは三人いるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

表に立った十内はさらりと刀を抜きました。

ちかくの雑木林のなかで鴉が鳴き騒ぎ、バタバタと羽音をさせて杉の木の上に止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「鴉」読めませんでした・・泣

調べてみると「からす」

 

 

 

 

 

 

 

カラスって「烏」なのでは・・

ニッポン放送 NEWS ONLINE さんの記事によると「カラスの漢字は『烏』と『鴉』の2種類」

 

 

 

 

 

 

 

この2つの違いは「漢字の成り立ち」だそうです。

烏は象形文字で鴉は形声文字

 

 

 

 

 

 

 

「烏」と「鳥」は横棒がたった1本ないだけの違いです。

トリにあってカラスにない上部の横棒は、もともと目を表す部分だった。

 

 

 

 

 

 

 

カラスの体は真っ黒ですから通常の鳥と比べると目の位置が非常に分かりづらいのです。

象形文字は「ものの形を点や線で表した文字」

 


そのため「鳥」にはある目の部分の横棒がなくなり「烏」という漢字になったと言われています。

 

 

 

 

 

 

 


もう一つの「鴉」という漢字には「牙」という字が入っている。

しかしカラスにはクチバシはあっても牙はありません。

 

 

 

 

 

 

 

この「牙」はカラスの鳴き声に由来している。

カラスの「カーカー」「ガーガー」という独特な声を昔の人は「牙」という文字で表しました。

 


「そのため、本来カラスが持たない『牙』という文字が入っている」

 

 

 

 

 

 

 

 


まさか鳴き声を漢字で表しているとは。

そして目を横棒で表していたとは。

 

文字っておもしろいなあ。