衣かつぎ

こんにちは。きのひです。

 

「裏店(うらだな)とんぼ」 稲葉 稔 著 を読みました。

2019年10月20日 初版第1刷発行

2019年11月25日 2刷発行

 

 

 

 

 

 

荒金菊之助(あらがねきくのすけ)はむかし侍でした。

いまは長屋で包丁研ぎの職人をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

一日の仕事が終わると大川沿いにある小さな煮売り屋に行きます。

店の長腰掛けに居座り、酒を飲み皿の肴(さかな)をつまむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それは菊之助が一日のうちで一番くつろげる時間でした。

酒を舐(な)めるように飲み、衣(きぬ)かつぎを頬張ったとき、気になる子供の姿を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「親爺、あの橋のそばに立ってる子供だが、昨日もいたな」

「ああ、あの子ですか。このところ毎日ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり暗くなっても子供は立ち去る気配がありません。

菊之助は子供には弱い。

 

声をかけてみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「坊や、誰かを待っているのかい?」

「・・・お父(とっ)ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

「家はどこだい。おじさんと一緒に帰ろうじゃないか。坊やの名はなんていうんだい?」

「・・・直吉(なおきち)」

 

 

 

 

 

 

 

 

直吉の父は江戸十里四方追放の身になっていました。

喧嘩と恐喝まがいの常習犯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

本来は遠島(えんとう)刑であったが盗賊一味の押し込み情報をもたらして目こぼしを受けました。

「近々それが解けて帰ってくる」母親が近所の岡っ引きと話しているのを聞いた直吉は父を待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「直吉、毎日家にいてばかりじゃつまらないだろう。おじさんの家にときどき遊びにきな」

「暇を見計らって読み書きを教えてやる」

 

「・・ほんと」直吉の黒く澄んだ瞳が輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いします」こくりと頭を下げる直吉に菊之助は目を細めて微笑みました。

「約束だぞ。読み書きは大事だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ところで衣かつぎとはなんでしょうか。

瓢嘻(ひょうき)さんのブログに「きぬかつぎはご存知でしょうか」とありました。

 

 

 

 

 

 

 

 


「『きぬかつぎ』とは里芋の小芋を皮付きのまま茹でる、または蒸したもの」

切り込みを入れた皮を剥いて食べる秋のお料理です。

 

 

 

 

 

 

 

 

里芋の1/3程度のところに包丁でぐるりと切れ目を入れてから蒸す。

蒸し挙がった里芋の皮をつまむとするりと簡単に剥くことができます。

 

 

 

 

 

 

 

 


なぜこれを「きぬかつぎ」と呼ぶのかというと「衣被ぎ(きぬかづき)」からでした。

里芋の一部に皮のついた様子が平安時代の位の高い女性の衣装「衣被ぎ」を連想させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かに茶色い皮からのぞく里芋の白さは平安時代の高貴な女性の美しく透き通った肌を連想させられますよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

里芋は驚くほど充実した栄養素が含まれているにも関わらず他のイモ類と比較して低カロリーです。

例えば100gあたりジャガイモは76キロカロリー、サツマイモは132キロカロリー、山芋は65キロカロリー

 

 

 

 

 

 

 

 

それが里芋はなんと58キロカロリー

ダイエット中の女性でも安心です。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして他のイモ類になく里芋にある「独特なぬめり」

これは「ガラクタン」と「粘液糖タンパク質の混合物」という成分によるもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラクタンは炭水化物とたんぱく質の複合体のことを指す。

脳細胞の活性化、がん細胞の抑制、免疫力の向上、動脈硬化予防が期待できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

粘液糖タンパク質の混合物は便秘の解消やスタミナアップ。

さらに胃腸の粘膜を保護して働きを活性化させる等の効果が期待できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

また里芋には18種類ものアミノ酸が含まれています。

そのため老化防止や脳細胞を活性化する効果やリンパの流れを促進する作用から美肌効果まで期待できる。

 

 

 

 

 

里芋は思ってた以上に「老若男女問わず嬉しい食材」でした。