こんにちは。きのひです。
「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」 月山 もも 著 を読みました。
2020年10月29日 初版発行
2020年11月25日 再版発行
著者は山と温泉を愛する女ひとり旅ブロガー。
「会社勤めのかたわら日本各地の山や温泉を目的地にひとりで旅をしています」
温泉旅を始めて十数年。
「登山は2020年に10年目を迎えました」
ご飯、お酒、温泉旅、登山。
「世界は『楽しむときは誰かと一緒がいい』人のほうを基準に作られているように感じます」
そう感じるの、わかります。
一緒に楽しむ誰かが同じタイミングで同じ気持ちで行動できればいいけど・・。
ひとりだとなんだか周りの目も気になるし寂しいんじゃないかとちょっとこわい。
それが自分だけの問題なんだとわかってはいても、です。
「おそらく世の人は大きく二つに分かれるのではないでしょうか」
「『楽しむときは誰かと一緒がいい』人と『ひとりでも存分に楽しめてしまう』人」
著者が初めて「一人で行きたい」と思ったのは高校生の時、母と一緒に行った「コフィア」という喫茶店。
「またコフィアに行きたい」という著者に母は「コーヒーが出てくるまで時間がかかるから」とつれない返事です。
「それならもう一人で行くしかない」と学校帰りに緊張してコフィアのドアを開けた著者。
すると店の人が「ごめんなさいね。うちは高校生はお断りしているの」
これは著者にはものすごいショックでした。
たしかに「同級生と行く雰囲気の店ではない」と感じてはいたんですが・・。
しかしあきらめきれない著者は2か月ほどして化粧をして大人っぽい私服で再挑戦。
見事「カウンターのお席にどうぞ」と案内してもらえました。
「そこで断わられていたら現在の『行きたいと思ったらだいたいどこでも一人で飲みに行ける私』はいなかったかもしれません」
そしてわかったことがある。
「一人でお店に入って『お断り』されるとかなりショックをうける」
複数人で断わられても「なんだいっぱいか」としか思わないのに、一人だとなぜか自分を否定された気分になってしまう。
「あれは、どうしてなんでしょうね」
高校を卒業して上京し一人暮らしを始めた著者。
ひとりで外食するときはファーストフードやファミレスといったチェーン店に入っていました。
そのうち憧れていた洋食屋さんに行きたくなったけど一人で行くにはためらいがあった。
そこで最初は東京に遊びに来た同級生を誘って行ってみました。
「この店には次は一人でも来れそうだな」
著者は「一人で入りやすい店だと思う理由」をあげています。
たとえば「通し営業をしている」こと。
忙しい時間帯をさけて「ランチタイムとディナータイムの間に行く」
「開店直後の空いている時間帯を狙っていく」
「それが無理ならあらかじめ予約をする」
一人で入ることの難易度が低いのは「チェーンのコーヒーショップ」「ファーストフード」「喫茶店」
行ける範囲内でいろいろなお店に行ってみます。
カフェに一人で行けるならお酒のメニューがあるカフェで試しに一杯飲んでみる。
「なんだ一人でお酒を飲むなんて楽勝じゃん」と思えるかもしれません。
二つ目の楽しみ方は気に入ったところや通いやすいところに定期的に通ってみること。
「一人で来たお客さんにも楽しんでもらいたいと思っている店かを見極める」ことも必要。
著者は「ひとりでも飲みに行く」という話をした時「その楽しさがわからない」と言われたことが何度もあります。
「食事がおいしいと思ったときそのおいしさを共有できる相手がいなかったら楽しくない」
著者の感覚では「人と共有しなければ楽しくないことって本当は別に楽しくないのでは?」と思ってしまう。
それは「価値観の違い」
つまりおいしいお酒と食事を一人きりで楽しんでいる姿をそういう価値観の人に見られたら
「あの人は一人で飲みに来て何が楽しいのかな」と思われている可能性があります。
「『別に人に何と思われようと自分が楽しければいい』というある種の悟りをひらくまではこのことは一つのプレッシャーになります」
著者は一人で温泉にもいくし山にも登る。
でもはじめはプレッシャーを感じていたというところに親近感がわきます。
どうしても他の人と予定が合わない。
それでも行きたい場所ややりたいことがあったとき。
なにもおそれず自分一人で行動できたらずいぶん世界が広がる気がする。
誰かと一緒にどこかへ行って楽しさを共有したり誰とも予定が合わなければ自分一人で行動したり。
どちらも気負いなくできる人になれるのを目指したいと思いました。