こんにちは。きのひです。
「FACT FULNESS」 ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 著 を読みました。
上杉 周作、関 美和 訳
2019年1月15日 第1版第1刷発行
2019年2月12日 第1版第7刷発行
副題は「10の思い込みを乗り越えデータを基に世界を正しく見る習慣」
第11章までありますがそれぞれの章の最後に「ファクトフルネスとは」について記載があります。
たとえば第2章の終わりでは「ファクトフルネスとはネガティブなニュースに気づくこと」
「ネガティブなニュースのほうが圧倒的に耳に入りやすいと覚えておくこと」
物事が良くなったとしてもそのことについて知る機会は少ない。
すると世界について実際より悪いイメージを抱くようになり暗い気持ちになってしまう。
良い出来事はニュースになりにくい。
著者はイントロダクションで13問のクイズを用意していました。
3問を引用してみます。
1 現在、低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するでしょう
A 20% B 40% C 60%
3 世界の人口のうち極度の貧困にある人の割合は過去20年でどう変わったでしょう
A 約2倍 B あまり変わらない C 半分
12 いくらかでも電気が使える人は世界にどのくらいいるでしょう
A 20% B 50% C 80%
正解は 1―C 3―C 12―C
ここ数十年間、著者は何千もの人々に世界の事実について数百個以上の質問をしてきました。
貧困、富、人口、出生、死亡、教育、保健、ジェンダー、暴力、エネルギー、環境など
複雑な質問やひっかけ問題はひとつもないのにまともに正解できる人はほとんどいない。
たとえばクイズ3.
世界の人口のうち極度の貧困層の割合はここ20年で半減しました。
こんなすばらしい初歩的な世界の事実さえ広くは知られていない。
14か国で実施したこの3問めのクイズの正解率は平均で7%。
ちなみに日本の正解率は10%。上から4番目でした。
著者はユニセフの年報の表1から表5までを根拠にこう指摘します。
「1960年から1995年までのあいだに乳幼児死亡率が上がった国はない」
「世界は基本的に良くなっている」
「人は何事も2つのグループに分けて考えたがる」
「『世界には極度の貧困層もいれば億万長者もいる』という話は伝わりやすい」
「しかし『世界の大半は少しずつだが良い暮らしをし始めている』という話は伝わりにくい」
「悪いニュースのほうが広まりやすいと気づくこと」と著者は提案します。
「このニュースと同じくらい『明るい』話があったとしたらそれはニュースになっていただろうか」
「最後にひとこと」で著者はいいます。
「事実に基づいて世界を見れば世の中もそれほど悪くないと思えてくる」
「事実に基づいて世界を見ると心が穏やかになるし気分も少しは軽くなる」
「メディアはよく暗いニュースの合間に『心の温まるいい話』を織り交ぜる」
「しかしそれはわたしが言う『明るい話』とは違う」
著者の言う本当の意味で明るい話とは「数え切れないほどの小さな進歩」が世界中で起きているということです。
でもそれはなかなかニュースでは取り上げられない。
著者が示してくれているのは国連や世界銀行がまとめているデータであり特別な統計は使っていません。
「世界を悲観的にとらえ続けてしまうのはメディアのせいだろうか」
「もちろんその責任はあるがメディアを悪役に仕立てるだけでは何も変わらない」
「あなたは次のような先入観を持っていないだろうか」
「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えずどんどん物騒になっている」
「貧困は増え続け何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」
「これはドラマチックすぎる。精神衛生上よくないしそもそも正しくない」
著者はもちろん「世界について心配する必要はない」と言っているわけではありません。
「悪い」と「良くなっている」は両立するという考え方。
たとえば保育器で育つ早産児。
保育器に入ってから1週間たち体調はだいぶ回復しました。でも保育器から出ることはできない。
このような場合「赤ちゃんの状態は良くなっている」と「赤ちゃんの状態は悪い」はどちらも正しい。
「状況は良くなっている」というのと「心配ご無用」というのは同じ意味ではない。
「世界のいまを理解するには『悪い』と『良くなっている』が両立することを忘れないようにしよう」
読んでてなんだか希望の持てる素敵な本でした。